

当院は、関節リウマチを28年間研究、診療に携わってきました。その間、治療方法も進歩し、リウマトレックスや生物学的製剤注射(エンブレン、アクラテムラ、ヒュミラ、レミケード、オレンシア)を用いたオーダーメイド療法をいち早く取り入れるなど、患者さん一人一人にそれぞれあったオーダーメイドの治療が出来るまでになり、大変喜ばれています。
またリハビリテーションについては、120平方m以上のスペースにPT4名で厚生労働省の施設基準に準拠した理学療法IIのリハビリ施設で幅広く対応しています。
またリハビリテーションについては、120平方m以上のスペースにPT4名で厚生労働省の施設基準に準拠した理学療法IIのリハビリ施設で幅広く対応しています。
>>関節リウマチと検査
患者さんの症状や所見から関節リウマチが疑われたら、さまざまな検査をして診断を確かめます。また、診断が関節リウマチと確定して治療を始めてからも、治療の効果や副作用を見るために、検査は定期的に行います。
治療を始めたら3力月に1回くらい、血液と尿を採取して検査をします。これにより、薬の副作用や関節リウマチの活動性(=どのくらい活発か)をチェックすることができます。
治療を始めたら3力月に1回くらい、血液と尿を採取して検査をします。これにより、薬の副作用や関節リウマチの活動性(=どのくらい活発か)をチェックすることができます。

>>おもな検査値とその意味
血液検査 | 炎症反応 (CRP,赤沈) |
CRPが陽性のときは、全身性の炎症が存在することを意味します。その値は炎症の程度とよく相関するため、炎症の強さを調べるためには欠かせません。関節リウマチの重症度や活動性をはかる指標になります。 赤沈(赤血球沈降速度)値も同様の意味を持ちますが、いろいろな原因で亢進するので、解釈がむずかしいこともあります。 |
貧血 (赤血球数、Ht、Hb、血小板数) |
関節リウマチの患者さんは、貧血を合併しやすくなります。貧血では、一般に赤血球数、ヘマトクリット(Ht)値、ヘモグロビン(Hb)値、血小板数が低くなります。 | |
免疫反応 (RF、免疫グロブリン値) |
関節リウマチの患者さんの約80%がリウマトイド医子(RF)陽性となります。また、関節リウマチは炎症が続く病気なので、免疫に関係する蛋白である免疫グロブリンの値も高くなります。 | |
肝機能 (GOT(AST)、GPT(ALT)) |
関節リウマチとは直接関係ありませんが、薬の副作用やほかの病気の合併などを調べるために行います。肝臓が障害を受けると、GOT(AST)やGPT(ALT)の値が高くなります。 | |
腎機能 (K、BUN、血清クレアチニン) |
関節リウマチとは直接関係ありませんが、薬の副作用やほかの病気の合併などを調べるために行います。カリウム(K)値の異常や、血中尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン値の増加は腎機能の低下を意味します。 | |
尿検査 | 尿蛋白、尿沈渣 | 尿の検査では蛋白や糖が出ていないか調べます。また沈渣といって、白血球や赤血球が尿中に含まれていないかなどを調べます。この検査で関節リウマチかどうかを調べるわけではありませんが、薬の副作用や他の病気の合併などを調べることができます。 |
>>治療の概要
関節リウマチというと、将来的には「寝たきり」というイメージが持たれた時代もありました。しかし最近では、よい薬が増え、薬の使いかたも上手になりました。新しい薬のための治験も積極 的に行われています。また、手術の技術も進歩しています。したがって、関節リウマチの患者さんでも旅行で世界中を飛びまわられている方もいらっしゃいますし、重症でも歩いて通院される方もいらっしゃいます。

関節リウマチの治療の基本は、病気の進行を抑えることと、痛みをとることです。痛みというのは関節リウマチの場合、(1)炎症による痛み、(2)増殖した滑膜による痛み、(3)関節が破壊された痛み、の3種類があります。それぞれの痛みにあわせて、薬物療法、手術療法、リハビリテーション(リハビリ)を用いた治療が行われます。
>>おもな抗リウマチ薬一覧
■cDMARDs
分類 | 一般名 | 製品名 |
免疫調節薬 | 金チオリンゴ酸ナトリウム | シオゾール |
ペニシラミン | メタルカプターゼ | |
ロベンザリットナトリウム | カルフェニール | |
オーラノフィン | オーラノフィン「サワイ」 | |
ブシラミン | 先発薬:リマチル 後発薬:ブシラミン「トーワ」「日医工」「KN」、 ブシラント、レマルク |
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アクタリット | 先発薬:オークル、モーバー 後発薬:アクタリット「サワイ」「TOA」「TCK」 |
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サラゾスルファピリジン | 先発薬:アザルフィジンEN 後発薬:サラゾスルファピリジン「テバ」「日医工」「CH」「SN」 |
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イグラチモド | ケアラム、コルベット | |
免疫抑制薬 | メトトレキサート | 先発薬:リウマトレックス 後発薬:メトトレキサート「ダイト」「タナベ」「トーワ」「日医工」「サワイ」「サンド」「DK」「SN」、メトレート |
レフルノミド | アラバ | |
ミゾリビン | 先発薬:ブレディニン 後発薬:ミゾビリン「サワイ」「ファイザー」 |
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タクロリムス水和物 | 先発薬:プログラフ 後発薬:タクロリムス「あゆみ」「トーワ」「日医工」「サンド」「ニプロ」「ファイザー」「JG」 |
■生物学的製剤 tsDMARDs
分類 | 一般名 | 製品名 |
TNF−α 阻害薬 |
インフリキシマブ | 先発薬:レミケード バイオシミラー:インフリキシマブBS「あゆみ」「日医工」「CTH」「NK」「ファイザー」 |
エタネルセプト | 先発薬:エンブレル バイオシミラー:エタネルセプトBS「MA」 |
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アダリムマブ | ヒュミラ | |
ゴリムマブ | シンポニー | |
セルトリズマブペゴル | シムジア | |
IL−6阻害薬 | トシリズマブ | アクテムラ |
サリルマブ | ケブザラ | |
細胞標的薬 | アバタセプト | オレンシア |
ヒト型抗RANKL モノクロナール抗体製剤 |
デノスマブ | プラリア |
JAK阻害薬 | トファシチニブクエン酸塩 | ゼルヤンツ |
バリシチニブ | オルミエント | |
リンヴォック | ウパダシチニブ水和物 |
>>先端医療について
関節リウマチは決して悲観的になる病気ではありません。現在では、病因の解明も進み、新しい薬や治療法も続々と開発されてきています。関節リウマチが分子や遺伝子のレベルで理解されるようになってきたので、それらの働きを直接抑える治療の研究が進んでいるのです。こうした「先端医療」の代表的なものとして、抗サイトカイン療法、遺伝子治療、再生医療、ゲノム創薬などがあります。他に手術の領域では、手術支援ロボットシステムの開発も進んでいます。
抗サイトカイン療法
関節リウマチに関係のある活性因子(サイトカイン)という物質を抑える治療法。
遺伝子療法
滑膜の増殖を抑制する因子を作る遺伝子を、滑膜細胞に植え込むというような治療法。
再生医療
軟骨が破壊された部分に、これから軟骨になるという細胞を植えて、軟骨を再生させる治療法。
ゲノム創薬
疾患に関連するDNAを解析して薬を開発したり、個人にあった薬を使用したりする治療法。
手術支援ロボット
システム
システム
手術の計画、進行などに、コンピューター解析を導入し、より安全で確実な手術を行うことを支援する機器。

>>さまざまな社会保障の利用
関節リウマチの患者さんに対する社会保障には、身体障害者福祉制度、年金保険、介護保険、特定疾患治療研究事業などがあります。そのほか、医療費が高額になった場合には高額療養費制度、高額療養費の貸付制度などの医療保障制度もあります。
このように不自由な状態の患者さんの生活を援助するために、いくつかの社会保障制度があります。これらの利用については、主治医や病院の医療相談室、または地域の役所の窓口などに相談してみてください。平成13年度から各都道府県にリウマチ、アレルギー関連で、いろいろなことを相談できる担当者が置かれ始めています。
このように、今後患者さんが選ぶことのできる治療の選択肢は増えてくることが期待できるのです
このように不自由な状態の患者さんの生活を援助するために、いくつかの社会保障制度があります。これらの利用については、主治医や病院の医療相談室、または地域の役所の窓口などに相談してみてください。平成13年度から各都道府県にリウマチ、アレルギー関連で、いろいろなことを相談できる担当者が置かれ始めています。
このように、今後患者さんが選ぶことのできる治療の選択肢は増えてくることが期待できるのです
